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BSE検査廃止に懸念する2つの理由~和牛の終わりの始まり~

日本では現在生後48か月以上の牛が食肉として出荷されるときにBSE(狂牛病)対策対策として、プリオンの検査が行われておりますがこれを内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会は「検査を廃止しても、人への健康影響は無視できる」ということで廃止することに決めたそうです。

毎日新聞の記事を引用したいと思います

 ◇プリオン専門調査会が評価結果案 食品安全委が近く答申

 牛海綿状脳症(BSE)を引き起こすプリオンの検査は現在、生後48カ月を超える牛を対象に実施されているが、内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会(村上洋介座長)は16日、「検査を廃止しても、人への健康影響は無視できる」との評価結果案をまとめた。これを受けて、食品安全委員会は近く「検査廃止」を厚生労働省に答申する。2001年から続いたBSE検査がようやく全廃となる。

 国内のBSEは01年9月に発生、同年10月から全頭検査が始まった。その後、BSE感染牛は03年以降に生まれた牛からは発生しておらず、食肉処理場の検査でも09年1月を最後に一頭も確認されていない。同調査会は「感染牛の状況から見て、健康な牛の検査を廃止しても、人へのリスクが高まることはない」との見解をまとめた。ただし、足がふらつくなど運動神経障害を示す生後24カ月以上の病的な牛は検査対象とする。

 BSEが発生した米国からは、13年から検査なしで生後30カ月以下の輸入が認められている。そのため日本側の検査廃止が輸入牛肉に与える影響はなさそうだ。国内の検査対象は05年8月から21カ月以上、13年4月から30カ月超、同年7月から48カ月超となっていた。【小島正美】

<BSE検査>廃止へ 48カ月超の牛対象 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース 

引用アドレス http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160616-00000060-mai-bus_all

 

 だそうです。新聞の見解によると、「BSE全頭検査はようやく全廃」といかにも良いニュースのように取り上げていますが私はそうは思いません。その理由は2つあります。

1.安全性(公)より安さ(私)を取ってしまったため

2.マーケット戦略的に「BSE検査」という安全性アピールが出来なくなったため

それぞれ理由について私見を述べたいと思います。

 

1.安全性(公)より安さ・アメリカ(私)を取ってしまったため

もしかしなくても、BSEの検査に限らず安全性の確保にはお金がかかるものです。危険であると騒がれている中国産の食品でも買う人もいますが、それは安全性よりも安さを取った結果でしょう。それが個人の行動であるならば、とやかく言うことはありません。企業側からしてみても、コストを掛けたくないので(≒高いと買ってもらえないので)国がしなくて良いと言うならばBSE検査などしたくないでしょう。しかし、これでよいのでしょうか?

BSE検査廃止は国の政策によって、BSE検査なんてコストのかかるものしなくて良いという安全性軽視経済成長重視(≒アベノミクス)の一環にすぎません。BSEに感染した牛が見つかったり、ましてや狂牛病患者がもし日本で発生したら内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会は国賊扱いされても同情などできません。舛添氏と異なり、こちらは「公」のためにならない政策決定をしたという点でバッシングされるべきであると思います。

内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会は「国」が「公」をゆがめてしまった例の1つです。

思い出したのは福島原発の問題です。

数年前東日本大震災による原発事故が現在進行形で続いていますが、そのときに放射線が安全だキャンペーンを国が行っていました。それらを漫画家小林よしのり氏が『脱原発論』で以下のように批判しております。

国と公がイコールにならない時がある。政府や官僚などの「国」の機構が、国民の安全と健康を守るという「公」を無視し、破壊してくる時がある。

小林よしのりゴーマニズム宣言スペシャル 脱原発論』第16章「国」が「公」を歪める例(p254) 小学館

 日本も北朝鮮のトップを国民の生活を省みないだと日々批判していますが、日本政府も50歩100歩かもしれません。

追記:「BSE検査」について他国の情勢を調べたところ、米国では牛肉の検査は以下のようになっているそうです。

Q. 各国の検査状況はどうなっていますか?
A. 現在、全頭検査を行っているのは世界中で日本だけです。EU諸国は30ヵ月齢以上の牛のみを検査。アメリカは30ヵ月齢以上の歩行困難な牛や死亡牛などから抽出検査をしています。

日本で 全頭検査が行われているという記述は2016年6月現在誤っていますが、ここで着目するべき点では米国では抽出検査であることです。これについて、米国側は

Q. アメリカで全頭検査を行わないのはなぜですか?
A. BSEの発症は、異常プリオンが長い間に蓄積して起こるものですが、脳に蓄積している異常プリオンが少ないうちは検査しても見つけることができません。 特定部位を取り除けば安全であること、アメリカでは市場にまわる牛の平均月齢が20ヶ月以下であることなどの科学的根拠に基づいて、アメリカでは、全頭検査を実施していません。
BSEに対する国民のパニック状態を治めるために、日本では食用牛の全頭検査、EUでは30ヶ月齢以上の食用牛の検査を行っています。アメリカでは、BSE検査の目的は、BSEがアメリカ国内でどれだけ広がっているのか、BSE対策が効果的に機能しているのかを調査し、監視することです。
このような目的のため、アメリカでは1990年よりBSE検査が開始され、OIEが設定している水準をはるかに超えた検査基準で実施されてきました。OIEの検査対象設定基準は、BSEが10万頭に1頭だけの発生であっても、検出が可能な構造になっています。
アメリカでのBSE陽性牛発見以降、2004年6月から検査数を大幅に増やし、現状の把握と迅速で的確なアメリカでのBSE対策を講じるために調査が進められています。

科学的根拠に基づいてらしいですが、科学など完ぺきではありません。科学でなんでも解決できるなら、宗教など全て消滅しているはずで原発事故などあり得ない筈です。今のアメリカでBSE問題が発生しても同情できません。そして、冒頭のように日本もBSE検査を抽出検査に切り替えることが決まりました。しかも、先の2つの引用は「米国食肉輸出連合会(USMEF)」という米国の畜産および食肉製品を国際的に広げるために米国の食肉関連企業および団体が設立した米国食肉業界の代表団体の公式ホームページより引用したものであり、アメリカ側からすればBSE等全頭検査に及ばない問題と認識しているようです。日本は、BSE問題でもアメリカに追随するようですが「グローバリズム」に飲み込まれているだけだと認識すべきと思います。

しかしながらこの政策の結果、日本でBSE患者が国産牛を食べたことで発生したら日本の農業の信頼は地に落ちます。こうなると、高くて危険(と思われた)日本産よりもどうせ安全なものなど無いのだから安い中国産やアメリカ産の食品が売れるに違いありません。もし(年齢的には資格に達していないですが)国会議員になれるならば、BSEの全頭検査を公約の1つに掲げてもいいくらい日本の農業の信頼(公)を守る重要なことであると感じます。

 

 

2.マーケット戦略的に「BSE検査」という安全性アピールが出来なくなったため

先ほどの理由と相反するかもしれませんが、日本がもし経済成長のためにブランド農作物を輸出するという戦略を取る場合にもBSE検査廃止はやはり愚策です。なぜなら、「BSE検査済み」という強みを失うからでそこから輸出戦略を考えることもできたからです。私は以前、「物を売るバカ 売れない時代の新しい商品の売り方」という本を読んだことがあります。その本の内容は「今は価格や商品の質だけでは売れないので商品に『物語』をつけて売りましょう」という品です。日本の牛である和牛を輸出するにおいても非常に重要なKey Word でしょう。確かに日本の和牛はアメリカ産やオーストラリア産よりも品質的に優れているのでしょう。が、外国でそれが通用するとは限りません。価格面では中国産やアメリカ産のように日本産の和牛含む農作物は「物語」で勝負するしかないのです。その「物語」の1つのKey Word として「安心安全」というモノを軸にして考えるべきと思います。BSEの検査も安心安全を支える1つの根拠として活用できたのに、目先の勝てもしない価格競争のためにみすみす辞めるのです

 

 

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