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農学部の学科による違いを農学部OBが教える!

農学部ということで、農学部のことも書いていこうかなと思いますね。

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農学部の笹史(@sasashi1992)です。元農学部のりょうたさんが、


という記事を書いて感銘を受けました。私も奇遇なことに農学部だったので、大学時代の件について受験生や他学部在学および卒業生向けに書いてみようと思いました。

 

ただ私が在籍した分野は農学部の中でもやや特殊な分野なので、いきなり自分の出身学科のカリキュラムについて語るだけでは良くないと思い、

オレのインスピレーションがそう言ってる を運営しているつちまるさんの

 

のように出身大学の農学部の学科による違いを書いていくことにします。

 お品書き

 1.出身大学の3つの学科を紹介する!

ア. 農学系学科

 まずは一般人が農学部と言ってイメージされるのはココ。勉強内容としては、「農業」に関する分野全般で、作物,園芸,昆虫学,農業経営を農業を行うに当たって必要な勉強および研究が行われております。

 

カリキュラムの最大の特徴としては、農業そのものの勉強をするだけあって1年生(当時,現在は学生実験と連携させるために2ねんらしい)農場実習が毎週必須らしく、3年生でも選択で週1回の実習を分野を決めて行けるらしいです。私は、(生物)環境系学科所属なので農場実習は1年生の短期だけでしたが、正直農場実習はもっとしたかったと後悔しております。というか3年生で農業インターンとかに行けばいいだけですが。

 

 私も、農場実習こそ参加できませんでしたが他学科履修という形でこの学科の講義に参加させて頂きました。その中でも、「資源植物学」というの工芸作物の授業が印象に残っております。

因みに工芸作物とは、

収穫後,加工して初めて利用される農作物。用途によって,繊維用・糖用・油脂用・染料・香辛料・薬用その他がある。三省堂 大辞林 より

工芸作物とは - Weblio辞書

 という定義です。有名な作物ではアサとかナタネが工芸作物に当たり、そういった作物の生物学的特徴や栽培の注意点を学んでいきました。

 

イ.農芸化学系学科

 農学部とはいえ、農学系学科とはかなり異なる趣を見せるのが農芸化学系学科です。学習分野としては、微生物や生物化学などの生命科学分野,食品製造や栄養学などの食品分野、有機化学や物理化学、農薬化学などの生物を絡めた化学分野の3つに分かれております。農場実習はあまりありませんが、代わりに食品加工の実習があるそうでやはり参加したかったです。

 

 食品分野はまだしも、有機化学や生物化学の分野ですと講義も研究内容も理学部や工学部的な要素も強くなり、農学部≒農業という感覚で入学するとミスマッチングを起こします。

 

この学科も農学系学科同様に幾つかの講義に食品系の授業を中心に参加させていただいたのですが、乳製品の成分や製造法を生物化学的に解明していく授業が一番面白かったです。ただ、生物化学等の基礎分野の重要性を授業担当の教授は強調していたものの、基礎学問のカリキュラムの緩さと自らの独学不足で理論を完全に理解できたとは言い難かったです。まあ、食品製造の実務では理論なんて知らなくとも体力勝負でどうにかなるのですが。

 

後、ここの学科だけは「食品衛生管理者」という一部の分野の食品工場で一定数置く必要のある資格を学科全員で取得するため必修科目が農学部の他の学科より多いのも特徴です。というのを、食品衛生学の

ウ.(生物)環境系学科

 私の所属していた学科で、1の農学系学科と2の農芸化学系学科の一部の研究室が合流して誕生した学科です。研究分野は、動植物の生態,土壌,空気の化学的な分析,微生物や植物の環境利用,造園に分かれており、私は土壌の研究室で「土壌に」生物学と化学の両面から環境を学べるという触れ込みでしたが,カリキュラム上での基礎学問(数学や化学の物足りなさ)の欠陥が大きく響き一部の卒業研究や一部講義科目の本質的な理解に大きな影響を受けました。

 

実習としては、大台ケ原でシカを観察するという大がかかりな実習が印象に残っております。ちなみに一番印象に残っているのは、宿舎のトイレが推薦ではなく汲み取りであることです。

 

自学科についてはカリキュラムについて思う所とか書きたいことが沢山あるので、折に触れて別記事で取り上げる予定です。

 

 

2.では、農学部の就職は?

 学科共通で、食品メーカーや医薬品メーカの希望が多かったですね。ただ食品系は超優良企業が少なく、そのような企業は文系の学生も競って参入するので難関となります。明治とか味の素とかは安定性が高いので。加えて理系内でも食品ならまだしも医薬品とかです、薬学部4年制や工学部応用化学・生物工学や理学部のバイオ系の学生と競う羽目になります。

 

農学部は理系ですが、就職セミナーなどで理系学生対象と謳ってあってもほとんどが自動車等の理工系(特に機械や電気,情報系対象が多い)メーカで農学部生はお呼びではありません。技術系でこの手のメーカーに入社できても中小企業でしたり、事務系(要は営業職)で文系出身者と一緒に仕事をする羽目になります。

 

ちなみに、農学部といえば農業をイメージされる方も多いでしょうが、これについては安易にはお勧めできません。学科全般でも農業関連の商社は何人かいましたが、農業そのものに進んだ方は養豚・養鶏関連の企業に就職した一人しか知りません。それもきちんと企業として農業を行っているところで、就農ということで農業法人などに行った人は誰も知りません。やはり農業は農学部学生いえども避けられるのですかね。

 

何故勧めないかは以下の記事を参照のこと

1番のブラック業界は「食」、特に「農業」です【追記】

 

後は、りょうたさんの農業就業体験記もどうぞ。3週間でクビとありますが、皆さんは何日持つでしょうか。3年くらい続けられそうなら、就職先に選択する余地はありますが。


 

と、農学部の専門性を生かせそうな分野は狭い上に、文系学生も群がる人気分野なので、椅子の取り合いに負けるor自分から他分野に進む学生も多々います。そういう学生は、金融や小売等文系でも行けるような様々な分野に散らばっていきます。職種としては、当然ながら営業や販売職とコミュニケーション能力が問われるジャンルになり、入社後は文系出身の学生と競うことになります。

 

ちなみに、私の新卒での就職はこんな感じでした。

「適性のない仕事」に就職すると3ヶ月でクビになります@食品製造 

 

農学部の就職事情に関しては、

行く価値の無い学部~国が給付型奨学金導入らしいが~ 

でも異なる視点で書いてあるのでよろしくお願いします。

 

 

まとめ:面白いけど、理系である強みには?な農学部

農学部は、理系でも異色で数学や物理学があまり出てこず、自然の中で実習や研究できるのが魅力ですね(分野にもよりますが。農芸化学系ですと、研究室にこもりきりになりますね)。弟は工学部情報系ですが、研究とか部屋にこもってやりそうで体に悪そうです。勉強内容も、作物や動物や食品という馴染みのあることが多いので半導体工学とか知能情報学とかよりはとっつきやすいと思います。

 

ただ、数学や物理学などを勉強しないということで自然科学の現象を物理学および化学的側面で理解できないことが多々あるのは擁護しがたいと思います。講義に頼らず、独学しろという結論になりますが。

 

後は理系の中では就職は弱いので、中間層以下ですと椅子取りゲームに敗れて文系就職or派遣などの非正規就職を余儀なくされる人もいます。卒業研究に時間を割くことを強いられるので、就職活動では下手すると文系学生より不利な戦いになります。現に私の研究室でも北海道の離島に行っていた同期など数名は2月まで就職活動が掛かっていましたし。

 

なので、理系だから就職が強いとかいうのは期待するべきではありませんね。

 

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